職員行動規範

                          社会福祉法人 ぴゅあ

(趣旨)

 この規範は、障害者福祉の実施における基本理念としての6原則(人権の対等性の原則・障害の個別化の原則・自己実現の原則・ニーズの共通性の原則・参加と平等の原則・機会の均等化とノーマライゼーションの原則)を基調として、社会福祉法人「ぴゅあ」の運営する事業所所属職員が行動するために定める。

 福祉サービスを提供するにあたって、事業所という集団全体の福祉を優先することなく、また集団の中の一人ひとりの福祉サービスの総量でもなく、あくまでも「社会」という集団のなかにおける一人ひとりの幸福の向上を指標とするとともに、利用者を障害者として特別扱いせず、福祉サービスの提供契約においては、双方が対等の立場で、権利・義務の主体者であることを銘記し、当該職員は次に定める行動規範を遵守するものとする。

 

(基本的姿勢)

1 職員は、利用者の人としての尊厳を大切にし、その権利擁護に努めなければならない。

2 職員は、支援・援助者としての立場を自覚し、利用者の主体性、個性を重んじなければならない。

3 職員は、利用者が快適で豊かな地域生活が送れるよう、支援・援助しなければならない。

4 職員は、利用者一人ひとりの障害の軽減と自己実現にむけた、専門的支援・援助を行わなければならない。

5 専門的な役割と使命を自覚し、絶えず自己研鑽に努めなければならない。

 

(具体的行動規範)

6 責務・努力事項

(1)利用者の意思・個性の尊重

@ 入退所・異動などは、本人並びに保護者・家族に十分な説明を行い、相互理解のもとで本人が選択の機会が得られるよう努めること。

A 個別援助プログラムの実施については、必ず本人並びに保護者・家族への説明を行い、相互理解と同意のもとで実施する。

B 事業所運営、処遇などに対する利用者の意見、要望などを聞く機会を定期的に設け、意見等が反映されるよう努めること。

C グループの所属に関しては、本人の意思を最大限反映させること。

D 行事や利用者の活動計画には、計画の立案段階から本人が参画できるように努めること。

E 日課や行事の変更は、必ず利用者に伝え協議し、了解を求めること。

F 個人の好み、嗜好を尊重し、選択の幅を広げるよう努めること。

(2)利用者の社会参加の支援

@ 地域の文化・芸術活動及びサークル活動や催物などに参加するなど、社会参加の機会を広げていけるよう支援すること。

A 公民館、図書館、スポーツセンター等、地域の資源を利用する機会を多く持てるよう支援すること。

B 地域の住民と利用者、事業所職員とが交流を図るために、地域交流委員会のような機関を設置すること。

C 地域のボランティアを積極的に受け入れるよう努めること。

D 可能な限り職場実習・職場見学や他の事業所実習などの機会が得られるよう努めること。

E 就労する機会が得られるよう努め、また就労する際には、本人並びに保護者・家族の意思を確認すると共に、雇用主並びに現場の従業員にたいし、障害者に対する正しい理解が得られるよう努めること。

F はたらくことの意味・意義が相互理解できるように努めること。

(3)利用者の生活環境の保障

@ プライベートな時間と空間が保たれるよう努めること。

A プライベートな時間には、本人の趣味・趣向などが生かされるよう配慮すること。

B 大切なものを保管する場所が確保され、利用者自身が管理できるよう努めること。

C 食事は利用者の嗜好や意見・要望などを聞くなどして、それが十分献立に反映されるよう努めること。

D 作業等諸活動の場と生活の場は、明確に区別できるよう努めること。

E 事故防止、安全管理については、十分な注意をはらうこと。

F 健康管理については、細心の注意を払うとともに、必要なときには、必要な医療行為を受けることができるよう日頃から医療機関との密接な関係を保つようつとめること。

G 職員、利用者とも清潔で季節や時と場所に応じた衣服を着用すること。

 

(4)利用者、保護者・家族に対する情報開示

@ サービスの利用に関しては、事前に見学や面接を行い、通所の目的、期限、援助の基本方針などを十分に説明すること。

A 事業所の基本方針や事業計画などは、随時利用者や保護者・家族に開示すること。

B 利用者への情報提供は、利用者が分かりやすいように、読みやすい字で書く、あるいは視聴覚教材、朗読、口頭などの手段を用いるよう努めること。

C 保護者・家族に対して、利用者の生活・活動状況について、定期的に説明をおこなうこと。

D 利用者が事故に遭った時は、必ず保護者・家族に知らせること。

E 緊急な医療行為をする場合、本人並びに保護者・家族、後見人に知らせ、了解を得ること。

F 社会一般の情報の提供について、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどを利用して利用者への便宜をかかること。

(5)利用者に対する専門的支援

@ 利用者の一人ひとりの個性や特質を全人的に見て、可能性をのばし自立を促す専門的な支援・援助を行う。

A 利用者個々に対して、個別援助プログラムを準備すること。

B 個別援助プログラムは、学際的・科学的に個人の状況・ニーズを的確に捉え、計画的に行うこと。

C 利用者が意思決定をできるような機会・場面を多く設定し、自己実現に向けた支援を行うこと。

D 支援・援助は、職員全体の統一した考えの基におこなうこと。

E 聴覚障害や視覚障害などを持つ利用者には手話、点字、ボディランゲージ、サインランゲージなど、利用者個々に適切なコニュニケーション手段を工夫すること。

F 聴覚障害や視覚障害など、重複障害を持つ利用者に対しても、積極的に社会とのかかわりが持てるよう支援すること。

G 移動が困難な利用者に対しても、積極的に社会とのかかわりが持てるよう支援すること。

H 性の問題に関する対応マニュアルを作成すること。

I 作業援助での職員の基本的態度

ア.作業はあくまでも利用者による作業であるので、職員主体とならない。

イ.楽しく働けるような雰囲気がつくれる職員であること。

ウ.利用者に対する声かけと励ましを常に行い、計画的であり細かい作業の見通しを明確にもてること。

エ.利用者の能力と適性を踏まえ常に作業援助の内容を充実させるよう取り組むこと。

オ.利用者の安全、衛生、健康等に充分配慮すること。

J 利用者の不安時の対応

ア.利用者に安心感をもたれるような態度を保持する。

イ.相手を受容し、支えるという心理的な関係を保持する。

ウ.職員の対応により状況が改善されない場合、もしくは悪化するような場面では雰囲気を変えて関係改善を図るか、他の職員と対応をかわること。

(6)自己研鑽

@ 職員は支援・援助者としての意識の確立のため、相互が啓発しあうこと。

A 職員は自らの職業における倫理の確立と専門性の向上に向けて、積極的に研修会に参加するなど、研鑽を積むこと。

B 職員は利用者援助に当たっては、絶えず自己点検、相互点検につとめること。

(7)管理職員の責務

@ 利用者への体罰や不適切処遇、性的嫌がらせを行った職員に対しては、規則・規程に基づき懲戒免職を含めた厳正な処分をおこなうこと。

A 利用者の権利擁護のための第三者による評価の機会を設けること。

B 利用者の権利擁護のための職員研修の場を設けること。

C 利用者の人権擁護のため、事業所でチェックリスト等の策定を行い、その遵守につとめること。

D 人権に対するチェック体制を確立すること。

E 利用者、保護者・家族、関係機関と権利擁護に関する意見交換の場を設定すること。

F 保護者・家族あるいは一般住民やオンブズマンなどの第三者から情報開示を求められた場合は、いつでも応じられるようにすること。

G 利用者の選挙権の行使に当たっては、積極的かつ適切な対応につとめること。

2.禁止事項

(1)利用者への体罰等

@ 殴る、蹴る等の行為、そのほか怪我をさせるような行為を行うこと。

A 身体拘束や長時間正座・直立させるなどの肉体的苦痛をあたえること。

B 食事を抜くなど、人間の基本的欲求に関する罰をあたえること。

C 強制的に髪を切るなどの精神的苦痛をあたえること。

D 体罰を容認すること。

(2)利用者への差別

@ 子供扱いするなど、その人の年齢に相応しくない接し方をすること。

A 障害の程度、状態、能力、性、年齢等で差別すること。

B 本人の前で障害の呼称・状態を表す用語や差別的な用語を使用すること。

C 障害が故の克服困難なことを、本人の責めに帰すような発言をすること。

D 日頃の行動から、その利用者にたいして予断を持ったり、判断したりすること。

E 利用者の言葉や歩き方などの真似をすること。

F 利用者の行為を嘲笑、興味本位で接すること。

 (3)利用者に対するプライバシーの侵害

@ 利用者個人の職務上知り得た情報を他にもらすこと。

A 利用者個人宛の郵便物の開封を行うこと。

B 本人の了解なしに、所持品の確認をすること。

C 利用者の衣服の着脱、排泄、生理等の異性介助は最大限避ける。

D 利用者の衣服の着脱やトイレ使用の際、他から見えるようにすること。

E 利用者の生理の話を人前でしたり、表をはりだしたりすること。

F 事前に利用者の了解をとらずに、見学者などをまねくこと。

G 第三者に対し利用者の生活・活動状況の説明など、本人の前でおこなうこと。

H 利用者本人や保護者・家族の了解を得ずに、本人の写真、名前や製作した作品を掲載、展示したりすること。

 (4)利用者の人格無視

@ 「さん、君」をつけて呼ばず、呼び捨てや渾名でよぶこと。

A 職員のことを強制的に「先生」とよばせること。

B 命令調になったり、大声で叱責したりすること。

C マイク等の放送で、朝の挨拶をしたり、利用者を呼びつけたりすること。

D 利用者の訴えに対して、無視や拒否をするような行為をすること。

E 利用者に対して、理解が困難なことば・表現を使用すること。

F 長時間待たせたり、放置したりすること。

G 利用者の人格を傷つけるような作品や写真の展示をすること。

H 担当専門医の指示によらず職員自らの判断で、薬物を使用すること。

I 援助内容を利用者個々人の人格を無視した、職員側の価値観や都合での一方的・画一的なものにすること。

J 利用者全員を同様の髪型や服装にさせること。

K 職員が管理しやすいように、衣類の表に氏名や事業所名を大書きにするなどの行為をすること。

 (5)利用者への強要

@ 本人の生命や健康を守るためにどうしても必要な場合を除き、利用者のいやがることを強要すること。

A 利用者に嫌悪感を抱かせるような療法等や訓練などを強要すること。

B 余暇活動を行うに際し、本人がいやがることを強要すること。

C 本来職員がなすべきことを、作業・訓練・指導と称し、利用者にさせること。

D 作業等諸活動に対し、いたずらにノルマを課すこと。

E 利用者や保護者・家族の意思を無視し、事業所側の都合により通・退所の強要をすること。

F 職員自身の私用に利用者をつかうこと。

 (6)利用者への制限

@ 自傷や他の利用者に害を与えるなどの危険回避のための行動上の制限を、本人及び保護者・家族への説明や専門家の意見を聞かず、職員ならびに事業所だけの判断でおこなうこと。

A 保護者・家族、友人、知人への電話や手紙などの連絡を制限すること。